大人ニキビと
思春期ニキビの違い

「ニキビは青春のシンボル」だなんて言われていたのに、大人になってもニキビができる。 10代の頃から大人になった今でも、ニキビに悩まされている方が多くいます。実は、10代にできる思春期ニキビと、大人になってからできる大人ニキビでは、その原因も発症部位も違います。 それは、思春期と大人ではホルモンのバランスが違うから。 大人ニキビには、「大人ニキビのためのケア」が必要なのです。

2016.06.09

  • 美肌解説

    • 女性は思春期から20代までホルモンの分泌が盛んになり、皮脂量が増えます。思春期ニキビは、ほとんどの場合、成長とともに自然に治まることが多いのですが、20代になってもニキビが治らない方、あるいは大人になってからニキビに悩まされる方も少なくありません。これが大人ニキビです。
      思春期ニキビと大人ニキビは、それぞれ発生する原因が異なりますので、ケアの方法を間違えると、かえって症状を悪化させてしまう可能性があります。 それぞれのニキビの違いを正しく理解して、適切なケアを行うことが大切です。

    • 思春期ニキビと大人ニキビの違い

      ① 原因

      一見、同じように見えるニキビでも、思春期ニキビと大人ニキビでは、その原因や特徴が異なります。

      思春期ニキビ
      通常、新生児の皮脂量は多く、乳児以降学童期までは皮脂量が少ないと言われていますが、第二次成長期にあたる13歳から18歳頃までは、女性も男性も成長ホルモンや男性ホルモンの分泌量が急激に増加します。この男性ホルモンが皮脂腺を刺激して、皮脂分泌を活発にすることから、この時期は急激に皮脂分泌量が増え、排出しきれずに残った皮脂が、古くなった角質などと混ざり毛穴をつまらせてしまいます。これが思春期ニキビの始まりです。さらに、つまってしまった毛穴の中でアクネ菌が増殖すると、赤い炎症性のニキビになります。
      思春期ニキビは、90%以上の思春期男女が経験すると言われていますが、第二次成長期が終わり、皮脂の分泌が正常になると自然にニキビも発生しなくなります。

      大人ニキビ
      大人ニキビの発症原因は、皮脂の過剰分泌だけではなく、ターンオーバー(皮膚の生まれ変わり)の乱れや、バリア機能の低下による角化異常などもあげられます。また、化粧品やメイクによる毛穴の詰まりのほか、女性ホルモンが影響して生理前後に悪化するケースもあります。
      上記の原因に加え、ストレスや睡眠不足、偏食など、生活習慣が悪化因子となっている場合も多く、大人ニキビは多くの場合なかなか治らず繰り返してしまいます。大人ニキビの対策は生活習慣を見直しつつ、正しいスキンケアを行うことが大切です。

      ② 発生する場所

      ニキビができやすい場所は、思春期ニキビは主にTゾーン、大人ニキビはUゾーンです。

      思春期ニキビ
      思春期ニキビは、額から鼻にかけてのTゾーン、こめかみ、頬骨のあたりなど、皮脂腺の多い部分にできやすいのが特徴です。特にTゾーンの毛穴の数は、顔の他の部分に比べて約7倍もあり、皮脂分泌が活発なことからニキビができやすくなります。

      大人ニキビ
      大人ニキビは、Uゾーンと呼ばれる、顎や口周りなど、乾燥しやすいフェイスラインにできやすいのが特徴です。大人ニキビの原因は皮脂の過剰分泌だけではないため、皮脂腺の少ない部分にも発生します。

      思春期ニキビ 大人ニキビ
      発生しやすい部位 額~鼻のTゾーン 顎~口周りのUゾーン
      自覚している肌質 脂性肌~混合肌 混合肌~乾燥肌
      原因・悪化因子 皮脂量の急激な増加、毛穴つまり など 皮脂の過剰分泌、毛穴つまり、ターンオーバーの乱れ、乾燥、ホルモンバランスの影響、生活習慣の乱れ など
    • ※参考資料
      ・菊地克子「大人のニキビを治療するコツ」
      『Monthly Book Derma. No.170』
       株式会社全日本病院出版会、91-95頁、2010年
      ・総編集 古江増隆・専門編集 林伸和
      『皮膚科臨床アセット8 変貌する痤瘡マネージメント』
      株式会社中山書店、2-7頁、90-96頁、2012年
      ・清水宏『あたらしい皮膚科学 第2版』
       株式会社中山書店、342‐344頁、2011年