男性ニキビ
(思春期/大人)
ニキビは男女ともになりやすい皮膚の病気ですが、男性の方が治りにくく、重症化しやすく、ニキビ痕(あと)も残りやすい傾向があります。男性特有の悪化原因もあるので、正しい知識を身につけて、ポイントを抑えたケアを行うことが大切です。
こばやし皮膚科クリニック 副院長 小林美和先生に、そのポイントを教えていただきました。
2024.02.27
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美肌解説
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男性のニキビについて
男性も女性も、ニキビができる原因は同じです。ただし、女性よりも男性ホルモンの影響を大きく受けやすく、女性とは異なる部分もあります。
ニキビができる原因は①皮脂分泌の増加、②毛穴のつまり、③アクネ菌の増殖が関係しています。
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1.皮脂分泌の増加
通常、皮脂の量は生まれてすぐの赤ちゃんで多く、それ以降落ち着いてきますが、第二次成長期にあたる13歳頃から18歳頃までは性ホルモンの影響を受け、皮脂の分泌量が急激に増えます。その量は男性では30~40歳代にピークを迎え、以降ゆるやかに減っていき、40代以降も続きます。
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2.毛穴のつまり
男性ホルモンの影響により、男性の肌は角質が厚くなりやすいです。また、水分を保持できる力が女性よりも低く、脂っぽいけれど乾燥している肌状態になります。肌の水分・油分バランスが悪くなることで肌のバリア機能が低下すると、肌のターンオーバーが乱れやすくなります。また、元々皮脂の分泌量が多いため、毛穴がつまりやすくなっています。
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3.アクネ菌の増殖
アクネ菌は誰もが持っている肌の常在菌で、皮脂を栄養として増殖します。毛穴がつまり、皮脂が充満した中で増殖したアクネ菌はニキビの炎症を引き起こし、赤ニキビができます。男性の肌は毛穴がつまりやすく皮脂分泌の量も多いため、アクネ菌にとって繁殖しやすい環境です。
さらに、髭剃りでは皮膚の表面に細かい傷がつくため炎症を起こしやすいこと、皮膚表面にとび出たニキビを一緒に剃り落としてしまい傷つける、といった男性特有の要因が加わることにより、ニキビが治りにくい傾向となってしまいます。
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男性のニキビを防ぐスキンケア
思春期の方も大人の方も、共通して行いたいスキンケア。使用するスキンケア製品は、ニキビができにくいことを試験で確認した、ノンコメドジェニックテスト済み※のものを使用しましょう。
※すべての方にニキビができないわけではありません。
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1.1日2回、洗顔料を使った洗顔を
朝晩1日2回、洗顔料をしっかり泡立てて、ニキビをつぶさないよう、やさしく洗うのが正しいやり方です。男性は皮脂分泌が多いので、余分な皮脂や汚れを落とすためにも洗顔料は使いましょう。
洗顔料を泡立てず、直接肌につけてこするように洗うのはNGです。摩擦はニキビを悪化させます。泡立てが苦手な方は、洗顔ネットを使用したり、最初から泡で出てくるタイプのものを使用したりしましょう。
ただし、不必要に洗い過ぎるのは禁物です。皮脂が気になるからと1日に何度も洗ったり、毛穴汚れを取ろうとゴシゴシこすって洗うと、肌を傷つけ必要な水分や脂分まで奪われてしまいます。また、洗浄力の強すぎる洗顔料の使用は肌を乾燥させてしまう原因になります。刺激の少ない洗顔料を選ぶようにしましょう。もちろん、運動や屋外活動で汚れてしまったときには、汚れを落とすために洗顔してください。
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2.水分・油分のバランスを整えましょう
皮脂が多いからといって、洗顔後に何もつけないと水分が不足して乾燥してしまいます。洗顔後何も塗らないのはNGです。肌の水分・油分のバランスを整えるためにも保湿ケアをしましょう。手軽に使える、化粧水、乳液などの役割が一つになったオールインワンタイプのものを使うのもよいでしょう。
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3.紫外線対策は忘れずに。
紫外線は、肌の乾燥やニキビ痕(あと)の色素沈着の原因となるため、オールシーズンの対策が必要です。男性の場合、紫外線対策を行っていない方も多いと思いますが、近年、紫外線量は増え続けています。日やけによる皮膚炎は、ニキビに悪影響です。まずは日やけ止めを塗ることから、紫外線対策を行いましょう。
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4.その他
髭剃りにより口周りのニキビを悪化させてしまうことがあります。いわゆる「かみそりかぶれ」というもので、医学的には「尋常性毛瘡(じんじょうせいもうそう)」といいます。口周りの固い毛で起こる炎症で、皮膚科で治療ができます。髭剃り前に洗顔をしたり蒸しタオルで温めたりして髭を柔らかくしておく、シェービングクリームを使用するなどし、肌への負担を減らすような工夫をしましょう。
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男性ニキビを悪化させてしまうNG習慣
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1.不規則な生活習慣
不規則な生活習慣により、ニキビが悪化することがあります。ニキビが悪化するNG習慣の例をあげてみました。当てはまる方は要注意です。
- テストや締め切りが近づくと徹夜をしてしまう
- 寝る前にスマートフォンで動画をずっと見て夜更かししてしまう。
- カロリー高めのお菓子を一気に一袋食べてしまう。
- おやつは甘い飲み物とスイーツの組み合わせ
- 揚げ物やラーメンなどの脂っぽい食事ばかりを好んで食べている
- 野菜や海藻はほとんど食べない
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2.ニキビをつぶす、刺激する
ニキビができると隠したくなるものですが、そういうときほど、ニキビを覆うような髪型や服装はNGです。刺激はニキビを悪化させます。このような行動、とっていませんか?
- 前髪をおでこに貼り付けてニキビを隠している
- マフラーやマスクでニキビを隠している
- カロリー高めのお菓子を一気に一袋食べてしまう。
- 顔のテカリが気になるので、おしぼりやシートでゴシゴシ拭いている
- 白ニキビができたら角栓をニュッと押し出したい
- 赤ニキビができたら膿を出したくてイジってしまう
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監修医師:小林 美和 先生
こばやし皮膚科クリニック副院長
香川医科大学(現:香川大学医学部)をご卒業後、産業医科大学皮膚科へご入局。さまざまな皮膚疾患の予防から治療までトータルな診療を行う。シミ・シワ、肌が敏感なときのメイク法など、女性に多い悩みにも親身に寄り添う診療とアドバイスで患者からの信頼も篤い。TV、雑誌などでも正しいスキンケア方法を発信している。