なぜ敏感肌になる?
原因を知ることが、すこやかな肌への近道!

多くの女性を悩ませている敏感肌。 改善していくためには、なぜ敏感肌になっているかを知ることが大前提です。 敏感肌を引き起こす原因を、美容皮膚科医として様々な皮膚疾患の治療にあたりながら、その先の美肌へとつなげる美容医療にも注力されている「銀座スキンクリニック」の坪内利江子院長に教えていただきました。

2021.04.12

  • 美容皮膚科医 坪内先生に聞く!
    敏感肌のお手入れとメイク術

    • そもそも、敏感肌の定義とは?

      「敏感肌」とよく言われますが、 実は、皮膚科学において明確な定義はありません。一般的に 「敏感肌」と呼ばれる肌は、アトピー性皮膚炎などの体質的、あるいは加齢による乾燥肌(ドライスキン)のためにバリア機能が低下し、異物や刺激に反応しやすい肌の人たち。
      体質的、生理的な要因以外でも、ストレスや疲労、睡眠不足、季節の変わり目、生活習慣や誤ったスキンケアにより肌のバリア機能が低下すると、トラブルを起こしやすくなります。女性の場合、生理前になると卵胞ホルモン(※1)が減り黄体ホルモン(※2)が多くなるため、肌の状態が不安定になり、かゆみやニキビなどトラブルを起こしやすくなる傾向があります。これらの女性ホルモンは、40才頃からの加齢にともない、急に少なくなります。

      ※1.子宮をはじめとする女性器の発育促進、第二次性微の発現など、[女性を創るホルモン」と言われています。真皮のコラーゲンなどの産出を促進させる慟きがあり、肌のハリや弾力を保ちます。
      ※2.出産や妊娠などに重要な役目を果たす大切なホルモンですが、皮脂の分泌を促進させ、 角質を厚くする働きも備えています。

      バリア機能が低下した状態とは?

      • 異物の侵入が防げなくなり、かゆみやヒリヒリしみることがある。
      • カサカサしやすい、乾燥しやすい。粉をふいたり皮膚がむけることがある。
      • アレルギー物質が侵入しやすくなり、赤み、チクチク感やニキビのようなブツブツ肌あれが起こる。
    • トラブルの原因はドライスキン!?

      皮膚の一番外側にある角層にはバリア機能があり、アレルゲンが体の中に入らないように保護しています。バリア機能を維持するため必要なのが、「角質細胞間脂質」と「天然保湿因子」ですが、皮膚の表面の皮脂も必要です。
      角層のこの2つの物質が少なくなると、肌が乾燥した状態(ドライスキン)になり、細胞の合間にすき間が生じて、外部からの刺激を受けやすくなります。肌が乾燥する悪循環に陥らないためには、スキンケアで潤いを保つことが解消への近道なのです。

      バリア機能の低下の原因とは?

      内的要因
      体質(アトピー性皮膚炎)、加齢、生活環境の変化によるストレス、睡眠不足、栄養の偏り、生理、妊娠、更年期などの女性ホルモンの変化
      外的要因
      紫外線、大気汚染、化粧品、ダニ、ほこり、植物、細菌など
    • アトピー性皮膚炎と
      敏感肌の深い関係

      アトピー性皮膚炎は、先天的に肌のバリア機能が弱く、外界からの刺激に過敏に反応してしまう体質のことです。アトピー性皮膚炎などで慢性的にバリア機能が低下している皮膚の場合、かゆみを知覚する神経線維が角層直下まで侵入しているため、たとえ軽い刺激であっても容易にかゆみが誘発されます。このことが、敏感肌の原因のひとつになっています。
      子どもの頃はアトピーだったけれど、成長したら出なくなったという人がいるのは、成長により肌のバリア機能が整ってきた証拠です。

    • 年齢変化とともに生まれる
      肌トラブルも

      また、若いころはどちらにも当てはまらなくても、更年期世代に入ってから「ニキビが出た」「赤みが気になる」などの肌トラブルに見舞われることもあります。それは、一般に40代半ばから女性ホルモンが減少し、皮脂が少なく乾燥しやすい状態になるからです。
      ふいにムズムズしたり、かゆくなったりする「ゆらぎ肌」も、ホルモンバランスの乱れが大きな原因と言われています。症状が出たときこそ、睡眠やスキンケアにいつも以上に気をつけていただきたいですね。

    • 原因を知ることが第一歩

      季節によって、生理前などの体調によって、あるいはストレスによってなど、どなたでも敏感肌になる可能性はあります。皮膚科の現場では、洗い過ぎなどの間違ったスキンケアによる、人為的なことも少なくありません。トラブルがあると何かを塗ってケアすることにばかり目が向きがちですが、いちばん大切なのは、原因を探ることです。
      不調の原因を見つければ、それに応じたケアができますし、敏感肌でないことが分かればひと安心です。皮膚科はキレイになるための心強い味方ですから、上手に活用してくださいね。

監修医師:坪内 利江子 先生

銀座スキンクリニック 院長

日本医科大学卒業後、国内外で皮膚科勤務や臨床研究を行う。帰国後、日本医科大学美容皮膚科外来責任者に着任。2005年、銀座スキンクリニック開設。美容皮膚科医療において、国内外で幅広い臨床経験があり、「一般の方々に美容医療の正しい知識と理解を深め、もっと身近に感じてもらいたい」との想いから、日々の診療の他にも、学会でのご講演、論文発表、臨床研究の受託などを勢力的に行っている。