規則正しい生活がカギ。
肌あれスパイラルから抜け出す方法とは!?

日々、美しくなるための研究・開発が進み、美容情報はあふれていますが、肌のトラブルは一向に減る兆しが見えません。新しい化粧品やセルフケア、治療法...、 私たちは何を選択すればいいのでしょうか? 美容・ファッションの最先端エリアである銀座にクリニックを構える「銀座スキンクリニック」の坪内利江子院長に、敏感肌のケアについてうかがいました。

2021.04.12

  • 美容皮膚科医 坪内先生に聞く!
    敏感肌のお手入れとメイク術

    • 敏感肌といっても、トラブルはさまざま

      アトピー体質で年中肌がかゆい...。肌が乾燥してボロボロ...など、ひと口に肌あれといってもトラブルはさまざまです。
      この原因のひとつが、バリア機能の低下です。外からの刺激に対して肌の感受性が高まり、いわゆる敏感肌状態になることで、さまざまな肌あれ症状が起こりやすくなります。

      ※イメージ図 ※すべての水分が蒸発するわけではありません。
    • 毎日の“誤った洗顔”が肌を敏感に!?

      以前、アトピー性皮膚炎の患者さんに「ニキビがあるし、肌の調子が悪そうですね」と言ったところ、「(体のアトピー性皮膚炎は特に問題がなく)調子が悪いのは顔だけなんです」という返答がありました。おかしいと思い聞き込んだところ、過度のクレンジングと洗顔により、乾燥状態に陥っていることが分かりました。
      確かに、肌が健康なときはダブル洗顔が基本ですが、アトピー性皮膚炎の方は、もともと皮脂量が少なかったり、肌のバリア機能が弱かったりするので、「肌の調子が悪い」と感じるときに洗浄力の強いメイク落としや洗顔料を使うことはご法度です。つまり、洗浄力の強いメイク落としが必要となるメイク自体を推奨できないことになります。

    • 寝だめはNG。毎日の睡眠を大切に

      それでは、肌の調子を良い方向に持っていくにはどうするべきなのでしょうか。これは基本中の基本かもしれませんが、とにかく「無理しないで寝ること」を心がけてください。日本人は睡眠を軽視しがちです。けれども睡眠不足は、肌や体、ひいては心にまで大きな影響をもたらします。
      私自身、自宅に帰ってから作業に熱中し、気づくと夜中の3時、4時...ということも珍しくありませんが、翌日、鏡に映る自分はいつもよりどんよりしています。特に、年齢とともに成長ホルモンは減少するので、20代の頃よりも30代、40代に入ってからのほうが睡眠不足の影響は大きく表れるようになるのです。

    • ビタミン中心の
      バランスの良い食生活を!

      さらにアトピー性皮膚炎で、塗り薬を塗ってもいま一歩、という方は食生活が乱れているケースが非常に多いです。美肌のためにはさまざまな栄養をバランスよく、肌にまで行き渡るよう十分とる必要があります。ただし、糖質過多になるのは避けましょう。忙しいときも、 主食を控えて副菜を積極的に摂ったり、ビタミンが多く含まれる食材を中心に食事をしてください。また、腸内細菌から肌を整えるという意味で、乳酸菌もお薦めです。

    • 活性酸素は肌の大敵

      これは、健常肌の方にも言えることですが、活性酸素(※)の発生しやすい生活習慣を見直すこともひとつだと思います。
      活性酸素を助長させるのが、紫外線や大気汚染物質です。それにより皮膚細胞で活性酸素が生成され、後々のシミやシワの原因になります。
      対策としては抗酸化作用があるもの、つまり、細胞の酸化を防ぐビタミンCやビタミンEを食材やサプリメントで摂取することです。
      特に、敏感肌の方は肌が乾燥しやすく、さまざまな刺激に敏感に反応しやすいですから、基本を見直すことからはじめてみてください。

      ※体を酸化させる酸素のこと。殺菌力が強く、細菌やウイルスを撃退する役割をしているものの、増えすぎると正常な細胞や遺伝子を攻撃し、老化現象につながると言われています。

監修医師:坪内 利江子 先生

銀座スキンクリニック 院長

日本医科大学卒業後、国内外で皮膚科勤務や臨床研究を行う。帰国後、日本医科大学美容皮膚科外来責任者に着任。2005年、銀座スキンクリニック開設。美容皮膚科医療において、国内外で幅広い臨床経験があり、「一般の方々に美容医療の正しい知識と理解を深め、もっと身近に感じてもらいたい」との想いから、日々の診療の他にも、学会でのご講演、論文発表、臨床研究の受託などを勢力的に行っている。