紫外線と加齢に負けない!
敏感肌のエイジングケア

iniksでは、肌悩み解決のサポートができるよう、スキンケアの情報発信に努めております。

2022年12月7日、敏感肌のエイジングケアをテーマにした「紫外線と加齢に負けない!敏感肌のエイジングケア」オンラインセミナーを行いました。
東京都、南青山にございます美容皮膚科、Skin Solution Clinic AOYAMA DORI 院長の脇田 加恵先生をお招きし、エイジングケアの視点から、紫外線ケアとバリア機能ケアについてお話を伺いました。

2023.01.19

監修医師:脇田 加恵 先生

Skin Solution Clinic AOYAMA DORI 院長

北里大学医学部をご卒業後、同大学皮膚科にご入局。病院でのご勤務を経て、2005年東京都中央区に「スキン・ソリューション・クリニック」をご開業、そして2021年に東京都港区に移転し「Skin Solution Clinic AOYAMA DORI」としてリニューアルオープン。クリニックでは「体の中から美しく、健康で楽しいエイジング法」をテーマに、一般皮膚科診療のほか、化粧品を用いたスキンケア指導、シミ・しわなどに対する美容施術、美容外科手術や生活指導に至るまで、幅広い診療を行っておられます。

  • ~皮膚老化は
    なぜ起こる?~

    • 皮膚老化の原因は主に2種類。加齢による自然老化と、紫外線などが原因の光老化です。皮膚老化の原因の80%が光老化と言われているため、紫外線対策はエイジングケアの基本になると脇田先生は仰います。加齢による皮膚老化は仕方のないことと諦めていましたが、8割は光老化が原因だったなんて…無防備に紫外線を浴びていた日々がとても悔やまれます。実際に、「光老化」の認知度は21.2%※で、多くの方が紫外線による皮膚老化を知らずに過ごしていることが分かっています。皆様は毎日紫外線対策をしていますか?紫外線を防ぐことがエイジングケアになるのであれば、すぐにでも実践したいですね。

      ※「光老化」啓発プロジェクト委員会調べ 2022年3月
      16~60代まで各年代均等に抽出した312名(男性156名、女性156名)

  • ~紫外線が
    皮膚に与える影響とは~

    • 紫外線(UV)とは太陽光の中で強いエネルギーを持つ光です。波長の長さによってUVA、UVB、UVCに分けられます。UVAとUVBの一部がオゾン層を通過し、地表に届きます。
      紫外線は目に見えませんが、皮膚に様々な悪影響を及ぼします。

      UVAとUVB、波長の長さが違うため、皮膚内部のどこまで到達するかが変わり、日やけ後の皮膚ダメージも異なるそうです。波長が長く、真皮まで到達するのがUVA。皮膚の土台となる部分に影響を及ぼすためUVAは主にしわやたるみの原因となります。それに対して、主に皮膚表面に影響するのがUVB。波長が短いUVBはやけどのような赤み、炎症、そしてシミ、ソバカスの原因となります。
      UVA、UVBは、角層にダメージを与えることにより、バリア機能の低下につながり、様々な皮膚トラブル、乾燥そして皮膚老化を引き起こす原因となるそうです。
      若いころは色が黒くなるのが日やけ、という認識でUVBに意識が傾きがちですが、長い目でみるとUVAの影響はとても恐ろしいことが分かります。

  • ~皮膚の
    バリア機能について~

    • 皮膚のバリア機能はどのようなものなのか、バリア機能の低下がどのような影響を起こすか、脇田先生にお教えいただきました。

      バリア機能は皮膚のうるおいを保ち、外的刺激から守ってくれる役割があります。皮膚で一番外側にある角層に存在する3大保湿因子(皮脂、角質細胞間脂質、天然保湿因子)によって構成され、紫外線や刺激などの外部から皮膚を守り、健やかな皮膚が保たれます。
      一方で紫外線等によりバリア機能が低下してしまうと、皮膚表面の角質が細かくはがれ落ち、水分を保ちにくくなり粗糙で乾燥した皮膚になります。またかゆみを感じる神経線維が皮膚表面に伸びてきて外からの刺激に敏感になり、ちょっとした刺激でもかゆみを感じやすくなり皮膚が敏感になります。
      外的刺激を受けやすくなると炎症が起こり、活性酸素が誘導されます。この酸化ストレスは皮膚の老化を加速させ、皮膚のくすみやしわなどの皮膚老化につながるそうです。
      皮膚のバリア機能の低下が、結果的に皮膚老化につながってしまうとは…
      皮膚老化を引き起こす要因は、とても身近なものだと感じました。

  • ~敏感肌は紫外線による
    皮膚老化の影響を
    受けやすい?~

    • 敏感肌の方は根本にバリア機能低下傾向があるので、紫外線によりさらに皮膚へのダメージを受けやすく、結果的に皮膚老化を促進させてしまう可能性があるとのことです。
      紫外線によるシミやくすみの他、酸化ストレスによってコラーゲン合成が抑制され、またコラーゲンの分解も促進し、皮膚の弾力低下がしわやたるみの原因となってしまうとか…
      実際に皮膚科医・美容皮膚科医163名に行ったアンケートでも、すべての先生が「角層バリア機能が低下していると、紫外線による皮膚へのダメージを受けやすい」と回答されていました。
      バリア機能が生理的に低下している傾向にあるといわれている敏感肌の方は、特に紫外線に対する対策、そしてバリア機能を意識したケアが非常に大事になってくることが良く分かります。

  • ~敏感肌が
    特に大事にすべき
    エイジングケアのポイント~

    • 帽子や日傘などで物理的に遮光して強い日差しを避ける工夫はもちろん必要ですが、日やけ止めを使用し、紫外線からのダメージを防ぐことも必要とのこと。
      敏感肌の方は皮膚刺激を感じやすく、日やけ止めも刺激になると思い、使用を控える方も多いかと思います。しかし、敏感肌の方はバリア機能が低下していることが多く、紫外線の影響も受けやすくなっています。敏感肌を考えた設計の日やけ止めを使用し、UVケアをしていただきたいと仰っておりました。

      また、皮膚バリアケアの一番の対策は「保湿」とのこと。
      バリア機能が低下していると皮膚が敏感になるので、低刺激なものを使用してください。
      特にバリア機能が低下した皮膚ではバリア機能の3因子「皮脂」「NMF(天然保湿因子)」「細胞間脂質」が少なくなっています。これらを補う成分を補充してバリア機能をサポートするのもよいとのことでした。

      また洗顔にも注意が必要です。どんな美容成分も、自ら作り出す成分の代用にはなりません。メイクや汚れだけを落とすようにするのが理想的です。洗浄力の強い洗顔料は、皮脂やうるおい成分を取りすぎてさらにバリア機能を損なうことがあるので、注意が必要です。

      皮膚はターンオーバーによって常に生まれ変わっています。皮膚の細胞を構成する栄養素、タンパク質やビタミン、ミネラルなど不足しないよう食生活にも気をつける必要があります。

  • ~紫外線ケアQ&A~

    • 視聴者から頂いた質問について、脇田先生にご回答いただきました。
      とても気になる内容ですので、ぜひ動画もご覧ください。

      • Q うっかり日やけした場合の
        対処法を教えてください

        まずはクーリングです。 濡れたタオルなどでやさしく冷やすとよいです。 日やけ後はバリア機能が低下し、乾燥しやすくなります。刺激が少なく保湿力の高い化粧水やクリームで保湿し、赤みやひりつきが治まらない場合は、皮膚科を受診しましょう。 早く炎症を抑えることが大切。
        その後72時間以内にメラニン産生抑制のケアを行いましょう。紫外線刺激を受けた後、72時間位からメラニン産生促進作用が起こり、日やけやシミができ始めます。炎症が収まったら、メラニン生成抑制効果のある化粧品やビタミンC、ハイドロキノンなどの塗布や、早めにビタミンC、トラネキサム酸、L-システイン、ビタミンDなどの服用を行うとシミの予防に効果的です。
        日やけをした皮膚のダメージを回復させるためのお食事にも気を配りたいですね。
        新鮮な野菜と果物をたっぷり取りましょう。緑黄色野菜には皮膚を保護するのを助けるビタミンA(βーカロテン)が豊富です。ビタミンCの豊富な野菜やフルーツも、シミの生成の抑制やコラーゲンの増生を高めます。またアボカドやナッツなどビタミンEも皮膚の新陳代謝や血行を高め皮膚の回復を促してくれます。このビタミンA,C、Eの「ACEエース」覚えておいてくださいね。

      • Q 飲む日やけ止め、スプレータイプの日やけ止めは効果ありますか?日やけ止めの選び方を教えてください

        飲む日やけ止めは飲むと日やけをしないというものではなく、紫外線による皮膚へのダメージを最小限に抑えるためのサプリメントが入っています。
        商品によって内容は多少異なりますが、日やけ後に摂取したほうが良いサプリメントや食事から摂取するのを心がけたい栄養素、そして日やけで発生する活性酸素を抑える抗酸化成分などが入っています。とくに食事から摂取の難しいビタミンDが入っているものが多く、ビタミンDは日やけによる炎症を早く抑えることがわかっています。
        スプレータイプの日やけ止めは、塗った場所がわかりにくく塗り漏れや塗りむらがおこりやすいです。そのため、しっかりとクリームやローションの日やけ止めを使用した後に、途中で付け足しをする場合や、クリームなどが使用しにくい髪の毛の保護には便利でお勧めです。

      最後に、脇田先生から、敏感肌で悩まれている方に向けてメッセージをいただきました。

      「エイジングケア」と聞くと、何だか特別なお手入れが必要な気がしますが、日々のスキンケアを丁寧に行い、しっかり保湿と日やけ止め等を活用した紫外線対策で皮膚のバリア機能を健康に保つだけでも、エイジングケアになりそうだということが分かりました。
      すぐにでも始められるエイジングケアでいつまでも若々しいお肌でいたいですね。
      以上、「紫外線と加齢に負けない!敏感肌のエイジングケア」セミナーレポートでした。