その肌の赤み、
バリア機能低下のサインかも?
~バリア機能と保湿の役割~

iniksでは、肌悩み解決のサポートができるよう、スキンケアの情報発信に努めております。

2023年7月12日、肌の赤みをテーマにした「その肌の赤み、バリア機能低下のサインかも?~バリア機能と保湿の役割~」オンラインセミナーを行いました。
鏡に映るご自身の肌を見て、肌の赤みが目立つな、と感じられる方は多いのではないでしょうか。本日は、東京都豊島区にございます、池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 院長 藤本 智子先生をお招きし、肌の赤みの原因や対策方法について、お話を伺いました。

2023.07.13

監修医師:藤本 智子 先生

池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 院長

浜松医科大学医学部医学科をご卒業後、東京医科歯科大学皮膚科にご入局。病院でのご勤務を経て、2017年に東京都豊島区 池袋駅近くに「池袋西口ふくろう皮膚科クリニック」をご開業。
老若男女を問わず、池袋地域の患者さまの様々な皮膚疾患を診療しており、特に汗の疾患を得意とされています。一人ひとりの症状や悩みに寄り添った丁寧な診療を心掛け、未病・予防の視点からもアドバイスを行っておられます。

  • ~肌の赤みの主な原因は?~

      • ◆ 使用している化粧品が肌に合っていない
      • ◆ 肌を擦る誤ったスキンケア

      肌の赤みを気にして受診される女性の方の約7割は、このような誤ったスキンケアが原因、との印象があるそうです。誤ったスキンケアはバリア機能の低下を招いてしまいます。バリア機能が低下すると、毛穴が詰まりやすくなりニキビもできやすくなってしまいます。紫外線や乾燥、寒暖差に対しても弱くなってしまい、「自分の肌は弱いんだ」と更にアイテムを追加し、かえって悪化させてしまう…という方が多いそうです。

  • ~肌の赤みは
    病気の可能性も~

    • 肌の赤みは、酒さ、酒さ様皮膚炎、ニキビ、アトピー性皮膚炎などの疾患がベースにあることがあります。この場合は治療が必要になってきます。ただ、スキンケアが間違っている方がその中に大半含まれるため、赤みの原因は複雑に絡み合っています。
      このため、正しいスキンケアと保湿治療のシームレスなケアが重要、とのことでした。

      また、誤ったスキンケアに気がつかずバリア機能が低下したままだと、最終的に感作され、かぶれやすい肌になる可能性があるそうです。
      もともとかぶれまでは起こらない肌だったのに、誤ったスキンケアによりかぶれやすい肌になってしまうのは、とても恐ろしいことです。
      肌に違和感を感じたら、些細なことでもまずは皮膚科を受診し、適切な対応を取りたいですね。

  • ~肌の赤みのメカニズム~

    • 肌の赤みは血管の広がりにより、見た目に赤く見えるそうです。
      角層はとても薄く、その下の毛細血管が見えやすいです。加えてバリア機能が低下し炎症が起こると、血管が炎症を運ぶために更に広がり、より透けて見えやすくなります。

      また「顔が赤くなる時は目の周りから」という方が多く、原因はアイメイクで擦りやすかったり、マスクから出ていて、花粉等の刺激物が目の周りに付着しやすいからだそうです。
      目の周りは特に毛細血管が広がりやすく、赤みが強く出やすくなります。
      入浴や飲酒で赤みがより強く出てしまうという場合や、マスク着用時、頬骨の辺りが常に擦れ赤みが出やすくなっている場合は、バリア機能が低下している目安になります。皆様もお風呂上りに、ご自身のお肌をよく観察してみてはいかがでしょうか。

  • ~肌の赤みを
    悪化させる因子~

    • 肌の赤みを悪化させる原因は多岐にわたります。
      肌に合わない化粧品、乾燥、寒暖差、ストレス、女性の場合は月経周期なども関係しています。
      寝不足の場合、肌の修復が遅れ、皮膚炎や赤みが悪くなる方も多くいらっしゃるそうです。生活習慣の乱れは、赤みの悪化に大きく影響しています。

      実際に肌に合わない化粧品で赤みを助長させてしまった患者様の症例写真をご紹介いただきました。
      こちらの方々は調べてみると、使用していた化粧品に含まれる特定の物質にアレルギー反応を示し、アレルギー性接触皮膚炎、接触蕁麻疹だったことが分かりました。原因物質を含まない製品を使用することでどちらも赤みは改善し、その後もご自身のお肌に合った製品を使用され様子を見られているとのことでした。

      このように肌の赤みの原因は様々ですが、特定の物質が原因の場合は、除去することで症状が改善します。肌の赤みが全く改善しない場合や明らかにおかしいなと感じた場合は、皮膚科を受診した方がよいかもしれませんね。

  • ~肌の赤みが気になる時の
    対処/予防法~

    • 肌の赤みはバリア機能の低下が根本にあるので、まずは赤みの気になる箇所をたっぷり保湿し、よく眠ると良いそうです。十分な睡眠は肌の修復を助けてくれます。お肌の調子が悪いかも?と感じたら、たっぷりの保湿と早めの就寝で、十分な睡眠時間を確保するだけでも変わりそうですね。
      また、痒みを感じた場合は冷やすのも効果的です。保冷剤が直接肌に触れないよう、ガーゼなどで包み、やさしく当ててあげると良いそうです。

      一番大切なのは擦らない、正しいスキンケアを行うこと。肌への摩擦は禁物です。
      例えば目周りの赤みを予防するために、アイメイクの際は付属のチップではなく、ブラシでふんわり優しくのせるようにすると、擦らず色をのせることができるそうです。

      寒暖差アレルギーなどで赤くなったり痒くなりやすい方は、スカーフを巻いたりマスクで顔を覆うことで物理的に外気から肌を保護すると、寒暖差の影響を受けにくくなるそうです。

  • ~肌の赤みが気になる時の
    保湿とは~

    • 肌が赤い時は皮膚のバリア機能が低下している時。
      細胞自体が緩み隙間がある状態なので、この隙間を埋めるための保湿は重要です。
      角層が整えば刺激自体も無くなるので、まずは痛みやチクチク感といった刺激が無くなるまで途中で止めずに、保湿をしっかり行うのが大切だそうです。

      この重要な保湿には役割が3種類あります。
      水分を与える「ヒューメクタント」、水分を保持し柔らかく、なめらかにする「エモリエント」、肌を密閉し水分蒸散を防ぐ「オクルーシブ」です。
      水分を入れて油で蓋をするのは保湿の基本です。
      特に顔は皮膚が薄い場所なので、この3stepのケアは必要だと考えられます。

      ヒューメクタント
      水分を与える
      エモリエント
      水分を保持し、
      柔らかく、なめらかにする
      オクルーシブ
      肌を密閉し、
      水分蒸散を防ぐ
    • 普段からの保湿の工夫として、冷暖房の乾燥には簡易なヒューメクタントを入れたミストスプレーや、その後にオクルーシブの油分の含んだものを、セットにしてポーチに入れ常に携帯してもいいですよね。
      また、花粉の時期や紫外線が強い時期は乾燥が非常に進んでいるので、環境に応じた眼鏡は準備してもいいかもしれませんね。花粉対策の眼鏡をかけたり、紫外線をカットするサングラスや眼鏡をかけるのはお勧めです。そういう日は、皮膚の薄い目周りだけでもオクルーシブ効果の高いアイテムを重ねると、赤みの出やすい目周りの保護ができていいかもしれませんね。
      とにかく、自身の肌をよく観察し、必要な保湿アイテムを使用していきたいですね。

  • ~藤本先生の美容法~

    • 化粧水、乳液は通年ちゃんと使用し、乾燥がひどいときにはクリームなどでしっかり保湿を行っているそうです。
      また若い頃、とにかく日やけをしないよう徹底されていたとのこと。紫外線が強い日は日やけ止めを7重につけ、夏でも長袖を着用していたそうです。そのおかげか、お顔にシミや首にいぼがほとんど無いそうで、昔の自分を褒めてあげたいと仰っていました。
      このセミナーを聴講された方、今からでも遅くありません。この夏は徹底した紫外線対策で、将来のお肌を守っていきましょう!

  • ~肌の赤みQ&A~

    • 視聴者から頂いた質問について、藤本先生にご回答いただきました。
      とても気になる内容ですので、ぜひ動画もご覧ください。

      • Q 赤みがでやすい季節は
        あるのでしょうか。

        刺激となる花粉が多い季節、また、ほこりやダニが多い環境下、冷房や暖房の風が直接あたるような職場や自宅で過ごす環境、紫外線が強い環境などは、刺激を受けます。

      • Q 赤みを放置しておくとどうなりますか?

        皮膚のバリア機能が壊れた状態が続くと、今まで刺激だったものがアレルギーを獲得して永久的に合わない体質になる可能性があります。
        花粉や小麦などは皮膚からの感作が続くと、花粉と交差反応がある果物や野菜など特定の食物を食べてもアレルギーが起こるようになったり、その反応が非常に強いと、アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー発症の要因になることがあります。
        また、そこまでいかずとも、常に肌が敏感で色々なものに反応しやすい体質になってしまうことも予想されます。

      最後に、藤本先生から肌の赤みに悩まれている方、敏感肌の方に向けてメッセージを頂きました。

      本セミナーの内容が、肌の赤みに悩む方、また日頃のスキンケアで悩まれている方の一助となれば幸いです。
      以上、「その肌の赤み、バリア機能低下のサインかも?~バリア機能と保湿の役割~」セミナーレポートでした。
      一緒に正しいスキンケアを行い、トラブルの起きにくいお肌、目指していきましょう!