あらゆる肌悩みに繋がる
バリア機能を徹底解説
~エイジングにもつながるバリア機能。低下しやすい冬にむけて総復習~

iniksでは、肌悩み解決のサポートができるよう、スキンケアの情報発信に努めております。

2024年7月23日、バリア機能をテーマにした、「あらゆる肌悩みに繋がるバリア機能を徹底解説~エイジングにもつながるバリア機能。低下しやすい冬にむけて総復習~」オンラインセミナーを行いました。 「バリア機能の低下」と聞くと、「肌トラブル」「ゆらぎ肌」というワードが浮かんできますが、実はエイジングにも関わっているとのこと。 「エイジングにもつながるバリア機能」という新しい視点で、日本橋いろどり皮ふ科クリニック 院長 横井彩先生から、お話を伺いました。

2024.08.21

監修医師:横井 彩 先生

日本橋いろどり皮ふ科クリニック 院長

秋田大学医学部をご卒業後、同皮膚科・形成外科講座にてご研鑽を積まれます。2017年藤田医科大学ばんたね病院 総合アレルギー科で講師を務められ、その後都内クリニック勤務を経て、2021年に日本橋いろどり皮ふ科クリニックを開院されています。患者様の肌悩みに寄り添った丁寧な診療を心がけ、患者様からも厚い信頼を寄せられています。

  • ~夏と比べると冬の方が湿疹で受診される方が増える~

    • 横井先生が開業されている八重洲・日本橋エリアは、オフィスワーカーが多いエリアにあり、受診される患者様も20代後半~30代の女性が多いそうです。
      その中の40~50%は湿疹・皮膚炎群で受診され、特に顔の湿疹で受診された方を夏(6~9月)と冬(12~3月)で比較すると、冬の方が受診者数が多いことが分かりました。
      冬には湿疹の患者さんが増える。この12~3月という季節に湿疹が増えている原因として、冬の空気の乾燥や花粉皮膚炎などがあるそうです。

      花粉症は花粉が目や鼻などの粘膜部分に接触することで、痒みや鼻水といった炎症を起こす疾患を指します。これと同じようなことが皮膚にも起こることがあり、それを花粉皮膚炎と呼んでいます。花粉皮膚炎は主に、顔や首など皮膚が薄く、冬の乾燥でバリア機能が低下しやすい部位で起こりやすいそうです。

  • ~皮膚のバリア機能とは~

    • 乾燥する季節によく聞く「バリア機能」ですが、そもそも何なのか、皮膚の構造とバリア機能について、ご説明いただきました。

      皮膚は大まかに表皮、真皮の2層にわかれ、その下に皮下組織や脂肪、筋肉などがあります。皮膚の外側の層である表皮は、外側から、角層、顆粒層、有棘層、基底層という複数の層で構成されており、これらの細胞のことをケラチノサイト(表皮角化細胞)といいます。ケラチノサイトは基底層から始まり、少しずつ表層に上がっていき、いずれ垢となって皮膚から剥がれ落ちます。これをターンオーバーといいます。

      表皮の厚さは平均約0.2mmと非常に薄いですが、最も外側の層にある角層には「バリア機能」という役割があり、体の外からは有害な物質の侵入を防ぎ、体の内側からは水分など必要なものが外へ逃げ出さないようになっています。
      このバリア機能を正常に保つために重要な役割を果たしているのが、「皮脂」「角質細胞間脂質」「天然保湿因子」と呼ばれる物質で、これらは皮膚の潤いを保つためにも重要です。

      皮脂 皮脂腺から分泌される脂で、皮膚の表面を覆い、水分の蒸散を防ぐ。
      角質細胞間脂質 角質細胞と角質細胞のすき間をうめている脂のことで、水分をサンドイッチ状にはさみ込み、逃がさないようする。
      天然保湿因子 角質細胞内にある低分子のアミノ酸や塩類などで構成されており、水分をつかまえて離さない性質をもっている。アミノ酸はフィラグリンが素となっている。
  • ~バリア機能が低下するとどうなる?~

    • 保湿因子が減少する要因として、乾燥しやすい元々の肌質はもちろん、エイジング等の生理的要因、冬の湿度低下等の環境要因、過度の摩擦や間違ったスキンケアなど様々な要因があるそうです。皮膚の潤いを保つのに必要な保湿因子が減少すると、皮膚は乾燥し、いわゆるドライスキンとなります。
      この状態が続きバリア機能が低下すると、皮膚内部から水分や保湿成分が外に出るだけでなく、皮膚にとって有害となりうる刺激物質やアレルギーの原因物質(アレルゲン)などが、低下した皮膚のバリア機能をすり抜けて体内に入ってきてしまいます。外からの刺激が繰り返されると、皮膚が体を守ろうと免疫が過剰に反応するようになり、皮膚の痒みや赤みなどの炎症がおきます

      皮膚の痒みや赤みといった炎症が長引くと、徐々にメラニンが産生され、皮膚の色が黒ずみます。これを炎症後色素沈着といいます。
      強い痒みや赤みではなく、なんとなく刺激を感じるくらいの軽い炎症であっても、長引くことで少しずつ色素沈着が起こります。これがいわゆる肌の“くすみ”や色ムラへとつながってしまいます。

      乾燥すると痒くなる→痒いので掻く→炎症が起こる→更に乾燥・炎症が悪化する…という負のスパイラルが始まります。これが続くと、表皮だけでなく、皮膚の真皮層にもダメージが蓄積して、皮膚のハリや弾力低下にもつながります。

      つまり、バリア機能が低下すると、肌はダメージを受けやすくなり、くすみ色ムラ、ハリや弾力の低下といった皮膚の老化も加速すると言えます。

  • ~うるおい補給で皮膚のバリア機能を保つ~

    • 皮膚のうるおいを保つことは、エイジングの観点からもとても大切であることが分かりました。バリア機能の低下の大きな原因である皮膚の乾燥を防ぐには、不足しているうるおいを補うことが必要です。

      角層のバリア機能を担う代表的な皮脂、角質細胞間脂質、天然保湿因子、これらの組成成分は、この右側にある成分です。
      正常なバリア機能を保つためには、単に油分を補うだけでなく、セラミドやアミノ酸等皮膚内部で潤いを保つ役割の保湿因子を補うことも大切でしょう。

      皮脂 ワックスエステル、トリグリセリド、スクワラン など
      角質細胞間脂質 セラミド、脂肪酸、コレステロール など
      天然保湿因子 アミノ酸、乳酸、尿素、塩類(Na,K,Ca,Mg他) など
  • ~ターンオーバーの乱れも、バリア機能低下・肌老化の一因~

    • 表皮を構成する細胞の95%は、ケラチノサイトと呼ばれる細胞です。バリア機能は、このケラチノサイトが健康であることで成立します。

      ケラチノサイトは表皮の一番下の基底層から始まり、成熟するに伴い上、つまり表面に向かって移行していきます。基底層で細胞が生まれて皮膚表面で垢となって脱落するまでの「ターンオーバー時間」は、部位や年齢によって異なりますが、28日~45日と言われています。ターンオーバーが乱れ、未熟な細胞がそのまま皮膚表面に出てしまうと、バリア機能は低下します。

      つまり健康で若々しい皮膚を保つためには、ターンオーバーを整えることも重要なのです。

      正常なターンオーバーを保つために普段から気をつけるべきことの代表は「摩擦を避けること」です。ゴシゴシ擦ることは角層を直接傷つける行為であるのはもちろん、毎日のスキンケアやメイクの時のうっかり摩擦も積み重なると同じく皮膚を傷つけます。

  • ~ターンオーバーの調整役 PPARα~

    • 実は2000年頃から、ターンオーバーの調整役として「PPARα」という成分の研究が世界中で行われており、皮膚の治療への活用が期待され始めています。

      このPPARαはケラチノサイトの核の内部に存在しており、ケラチノサイトの分化を誘導しターンオーバーを促進させたり、うるおいの素である脂質の生産を促進させたり、ケラチノサイトの炎症を抑制するなど、バリア機能を正常に保つために重要な役割を担っていることが分かっています。

      このPPARαが「ヒメガマホエキス」というエキスにより活性化することが、研究により明らかになっています。
      ヒメガマホエキスとは、ヒメガマという植物の穂の部分から抽出された成分で、聞きなれない植物ですが、実は因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)に登場します。

      この神話の中で、背中の毛をむしられたところに海水を浴び、皮膚の痛みで困っているウサギが登場します。このウサギに通りがかった神様が、海水を洗い流してガマの上に寝転ぶよう教えて、背中が元通りになった、というお話です。
      古来より傷んだ皮膚を癒すものとして古い書物に記されていた植物が、現在の基礎研究によりその作用が裏付けられたと考えると、とても興味深いなと思います。

      ヒメガマホエキスによるPPARαの活性化がもたらす作用は、ターンオーバーの調整だけではなく、炎症からの保護や、バリア機能や保湿に関する各種遺伝子の発現を促進することも明らかになっています。

      このヒメガマホエキスを含む製品でスキンケアを行うことで、ターンオーバーが整い、肌のバリア機能や保湿力の向上が期待できるといいなと思います。

  • ~正常なターンオーバーにより、健康な角層を作る~

    • ターンオーバーが正常であり、健康な角層が作られ、バリア機能が正常に機能する。この状態では、外部刺激から皮膚は守られ、内部の水分も外に逃げにくくなります。 横井先生は、冬の乾燥や花粉皮膚炎など冬場の肌あれに悩む患者様へ、できる限りこのことを説明するようにしているそうです。

      外の湿度低下や花粉など環境要因は自分でどうにかするのは難しい、けれどバリア機能を正常化して、皮膚炎の症状が出にくい肌にすることは可能です。適切な治療やスキンケアを行い、乾燥や花粉に負けない肌を目指すことを意識してもらえるよう、日々の診療で心がけていらっしゃるとのこと。

      そしてバリア機能が正常つまり健康な肌であることは、エイジング対策としても非常に重要です。このことももっと多くの人に認識してもらえるよう、スキンケアの大切さを、今後も伝えていきたいと仰っていました。

  • ~保湿によるバリアケアは、エイジングケアの第一歩~

    • 保湿をしてもしても乾燥する、スキンケアで刺激を感じやすい、といったわずかな炎症でも、繰り返すことで皮膚のダメージは積み重なり老化も促進します。
      正常なバリア機能を保つことは、皮膚の健康だけでなく、若々しいお肌のカギでもあると言えます。

      このバリア機能を正常な状態で維持するためには、
      1.不足したうるおいを補給すること
      2.ターンオーバーを整えること
      これらを意識したケアを行いましょう。

      バリア機能は急に整うものではありません。
      乾燥する冬に入る前からバリアケアを意識した保湿を行っていきましょう。

      最後に、横井先生が実践されている「バリアケアを意識した保湿」について、お教えいただきました。

      横井先生が気を付けていることは、肌を「乾燥させない」ことでした。
      保湿はもちろん大切ですが、ここでお話しされている「乾燥させない」は「マイナスを減らす行為」のこと。
      クレンジングの際の負担を減らす、摩擦による負担を減らす、という2点を徹底することで、バリア機能を低下させないようにしているそうです。
      例えば、クレンジングの負担を減らすためにクレンジング不要なライトなメイクにしたり、そもそも肌に触れる回数を減らすために、特に忙しい朝はスキンケア製品やメイク製品の数を減らし、慌ただしい中であれこれ塗らないようにしたりしているそうです。 他にも、紫外線を避けることは美肌の鉄則ですが、日やけ止めだけに頼るのではなく、傘や手袋を活用する、日陰や地下を利用するなど、物理的な遮光も重視することで、肌に負担をかけないようにされているとのことです。

      私たちも見習いたいですね。

      以上、「あらゆる肌悩みに繋がるバリア機能を徹底解説~エイジングにもつながるバリア機能。低下しやすい冬にむけて総復習~」オンラインセミナーレポートでした。
      エイジングケアにも繋がるバリアを意識した保湿ケアを行い、いつまでも健やかで若々しい肌を育んでいきましょう!