最新医療×スキンケア
~肌の赤みに注目して~

iniksでは、肌悩み解決のサポートができるよう、スキンケアの情報発信に努めております。
2024年11月21日、「最新医療×スキンケア ~肌の赤みに注目して~」オンラインセミナーを行いました。
近年、韓国美容のトレンドの影響などにより、肌の赤みをケアするスキンケアや、ベースメイク手法の注目度は高い傾向にあります。医療現場でも肌の赤みを主訴として来院される方は多いようですが、治療を成功させるためには、日頃のスキンケアも重要だそうです。
そこで、順天堂大学医学部 皮膚科学講座 木村有太子先生に、治療ガイドラインに基づく、スキンケア化粧品の使用についてのお話をいただきました。
2025.01.29

監修医師:木村 有太子 先生
順天堂大学医学部 皮膚科学講座
獨協医科大学医学部をご卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院での研修を経て、ドイツ・ミュンスター大学病院皮膚科への留学も経験。2016年、順天堂大学浦安病院皮膚科准教授、2021年からは順天堂大学医学部皮膚科学講座にて非常勤講師を務め、都内の皮膚科、美容皮膚科クリニックにも勤務される。
美容皮膚科、レーザー治療、皮膚真菌症などが専門。大人ニキビやシミ・くすみ治療を得意とし、健康で美しい肌へ導くお手伝いができればと、日々の診療に当たる。飾らない人柄で患者のみならず仕事関係者のファンも多い。趣味はトライアスロン。
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肌が赤く見える仕組み
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肌が赤く見える疾患の一つに「酒さ」があります。酒さは「赤ら顔」とも呼ばれ、鼻や頬、額などに赤みやニキビのような症状が出る病気といわれています。
そもそも、なぜ肌が赤く見えるのでしょうか。
肌の赤みというのは、一言でいうと血管が拡張している状態。
表皮はとても薄く、その下に毛細血管が豊富にあり、そもそも見えやすい場所に存在しています。加えて、バリア機能が低下し炎症が起こると、血管が炎症を運ぶので更に拡張し、より透けて見えやすくなるために、肌が赤く見えるそうです。
実際に肌が赤い酒さ患者さんのVISIA※画像を見てみると、濃い、モヤモヤとした血管が透けて見えていることが分かります。
※VISIA® Evolution:肌のシミやシワ、毛穴、色ムラ、肌年齢などを解析する肌診断器のこと。最新のカメラと分析技術で、カラー写真とUV写真による顔の撮影を行い、肌の状態を細かく分析することができる。
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肌が赤い=酒さ?
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肌の赤みの一例として酒さを挙げましたが、一口に赤みといっても様々な疾患、病態があります。酒さの他、例えばステロイド酒さ、ざ瘡、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎などがあります。
それぞれに診断のポイントがあり、それぞれに適した治療法が存在します。「顔が赤い」疾患例
さらに、一つの疾患でも病態ごとに適切な治療があります。
例えば酒さには、紅斑毛細血管拡張型酒さ、丘疹膿疱型酒さ、瘤腫型酒さ・鼻瘤といったものがあり、それぞれに適した治療法があります。
以上のように、一口に「赤み」といっても様々な疾患があり、一つの疾患にも様々な病態があり、それぞれに対応した治療法が存在します。肌が赤い時に行う決まったセルフケアがあるかもしれませんが、今一度、その方法が合っているのかどうか、見直してみてもいいかもしれません。
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スキンケアは酒さ治療の有効な選択肢の一つ
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尋常性痤瘡・酒さ治療ガイドライン2023によると、薬物療法だけではなく、スキンケアが酒さ治療の有効な選択肢の一つとして推奨されています。
酒さの悪化要因の一つに、紫外線や乾燥があります。日焼け止めの使用による適切な遮光、刺激の少ない洗顔料の使用や保湿剤の選択が望ましいことは、国内外で推奨されています。
スキンケアは皮膚科の治療に密接に関わっており、どんなに良い薬を処方したとしても、スキンケアが間違っていると治療は成功しません。医師による適切な治療と併せ、その時、その症状にあったスキンケア化粧品を適切に使用することで、治りが良くなることがあるそうです。
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酒さ患者さんへの実際のスキンケア指導例
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実際に酒さの方にどのようなスキンケア指導を行われているのか、木村先生にお教えいただきました。酒さの場合、スキンケア製品そのものが刺激物・悪化因子になりうるため、刺激感を自覚しない製品の使用が推奨されているそうです。
洗顔 強くこすらず、適温の水ですすぎ、タオルは押し当てるようにして水分をふき取る。 保湿 刺激感を抑えるために、少し乾かしてから塗布するよう指導することがある。 遮光 日傘を利用するといった物理的な遮光に加え、外出の際は日やけ止めを使用する。 「強くこすらない」「適温の水でよくすすぐ」「日焼け止めを使用する」といったことはスキンケアの基本です。疾患の有無に限らず、私たち全員が実践していきたいですね。
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肌が敏感な時のスキンケア化粧品選びのポイント
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酒さに限らず、肌トラブルが起こりやすい、肌が敏感な時のスキンケア化粧品選びのポイントについても、お教えいただきました。
スキンケアは「洗う」「うるおす」「守る」の3ステップのケアが基本。もし肌トラブルを起こりやすい、ということがあれば、低刺激で保湿性のある化粧品を選ぶことが大切です。洗う 泡立てがしやすく、過度に皮脂を取り過ぎないもの。 うるおす アイテムにより役割が異なるため、その時々に合ったアイテムを選ぶ。 守る 洗顔料で落とせる。ノンケミカルタイプのもの。 <保湿アイテムの役割>
ヒューメクタント 水分を与える エモリエント 水分を保持し、柔らかく、なめらかにする オクルーシブ 肌を密閉し、水分蒸散を防ぐ
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木村先生のスキンケア
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なんだか肌の調子が悪いと感じる時の、木村先生が行うスキンケアについてお教えいただきました。
木村先生はいつも季節の変わり目などに肌の調子が悪くなる時があるそうで、そういう時は保湿効果の高いスキンケア製品や、抗炎症作用が期待できるスキンケア製品を選んでいるようです。また、普段マスクをして全顔が露出する機会が少ないため、肌色トーンアップ効果のあるピンクベージュの色味のついた、洗顔で落とせる日焼け止め美容液」のみでベースメイクを終えられたり、乾燥が気になる時は、持ち運びが簡単なバーム状のオイルクリームを常備していて、こまめにつけられたりしているそうです。
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本セミナーのまとめと木村先生からのメッセージ
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本セミナーのまとめです。
● 肌の赤みとは、炎症により拡張した血管が透けて見えている状態。
● 一口に赤みといっても様々な症状、病態があり、それぞれに適切な治療法がある。
● スキンケアは皮膚科の治療に密接に関わっている。誤ったスキンケアでは治癒が難しい。
● 「洗う」「うるおす」「守る」の3ステップスキンケアを、正しく行う。最後に、木村先生から皆様に向けメッセージを頂きました。
韓国美容のトレンドもあり、最近では色が白いことが美肌の定義、のような風潮が見受けられますが、美しい肌とは肌トラブルのない、健康な肌であることだと考えています。
肌の赤みは、肌トラブルのサイン。
毎日のスキンケアを正しく行い、何か気になることがあれば、お気軽に近くの皮膚科へ相談いただければと思います。以上、「最新医療×スキンケア ~肌の赤みに注目して~」オンラインセミナーレポートでした。肌から送られるSOS(赤み)を見逃さず、正しいケアを行うことで、健康な肌を維持していきましょう。
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