ホルモンバランスが
肌のバリア機能に
与える影響

iniksでは、肌悩み解決のサポートができるよう、スキンケアの情報発信に努めております。
2022年2月22日、オンラインにて皮膚科専門医によるスキンケアセミナーを開催しました。
講師に銀座スキンクリニック 院長 坪内利江子先生をお迎えし、ホルモンバランスが肌のバリア機能に与える影響をテーマに、ホルモンバランスの変化とうまくつきあうライフスタイル・スキンケアのポイントをお聞きしました。その様子をレポートします。
2022.03.28

監修医師:坪内 利江子先生
銀座スキンクリニック 院長
日本医科大学卒業後、国内外で皮膚科勤務や臨床研究を行う。帰国後、日本医科大学美容皮膚科外来責任者に着任。2005年、銀座スキンクリニック開設。美容皮膚科医療において、国内外で幅広い臨床経験があり、「一般の方々に美容医療の正しい知識と理解を深め、もっと身近に感じてもらいたい」との想いから、日々の診療の他にも、学会でのご講演、論文発表、臨床研究の受託などを勢力的に行っている。
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肌のうるおいに重要な
3つの因子とは?-
はじめに、肌のバリア機能について教えていただきました。
肌のバリア機能の維持には、皮膚の角層内に存在している3つの因子「皮脂」「角質細胞間脂質」「天然保湿因子」が重要な役割を果たしています。
これら3つの因子が少なくなると、皮膚表面から水分が逃げてドライスキンになり、外部からの刺激を受けやすくなった結果、肌あれがおこってしまいます。
さらに、バリア機能が低下した状態では、かゆみをキャッチする「C繊維」とよばれる神経が表皮近くまでのびて、よりかゆみを感じやすくなってしまうようです。
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肌のバリア機能が
低下する要因とは?-
外的な要因として、空気の乾燥やスギ花粉、ほこり、紫外線そして肌の摩擦が挙げられ、それらに注意が必要であると教えていただきました。マスクによる摩擦のほか、洗顔時にゴシゴシ洗いすぎて自ら肌トラブルを起こしてしまっているケースもあるそうです。
バリア機能が低下しているときにスギ花粉やほこりが肌に付着すると、痒みや炎症反応が起こりバリア機能が悪化する要因になります。
またアトピー性皮膚炎の方は、体質としてバリア機能が低下しています。
皮膚表面を丈夫にし、うるおいの維持に重要な「天然保湿因子」に変化してバリア機能を担う、「フィラグリン」という体内物質の発現が生まれつき低下している人が多いことを解説いただきました。
そしてホルモンバランスの乱れや変化もバリア機能が低下する要因のひとつです。坪内先生も診療中、生理前のニキビなどホルモンバランスの乱れが原因と思われる患者様からの相談が多く、ホルモンバランスが肌へ与える影響は大きいのではとコメントされていました。
続いて、性ホルモンの役割について詳しく教えていただきました。女性ホルモン エストロゲン
(卵胞ホルモン)肌の美しさや健康を維持するために重要なホルモン。
真皮のコラーゲンやヒアルロン酸の合成を促し、皮膚の水分量を増加させて肌をなめらかにし、ハリを保つ。プロゲステロン
(黄体ホルモン)出産や妊娠などに重要な役目を果たすホルモン。
皮脂の分泌を促進させ、 角質を厚くする働きもある。男性ホルモン テストステロン 筋肉量を増加し、太い骨格、ヒゲや体毛を生やすなど男性らしい身体を作るホルモン。
皮脂分泌を増加させ角質を厚くする作用がある。男性ホルモンは女性の体内でも分泌されており、ストレスが原因で増加するといわれています。
男性ホルモンが過剰に分泌されると、皮脂の分泌が増え角層が厚くなり、ニキビができたり、肌がごわついたりと肌トラブルが起きやすくなってしまうようです。
まさにストレスは肌に大敵。ストレスゼロの生活は難しいため、ストレスと上手につきあうことが肌を労わることにもなりますね。
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女性のライフイベントと
ホルモンバランスの変化-
生理や妊娠・出産、更年期など女性特有のライフイベントにおけるホルモンバランスの変化は、どのように肌へ影響するのでしょうか。
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生理周期
月経が終わった後の卵胞期はエストロゲンが増加するので、比較的肌の調子の良さを感じやすい時期。月経前にあたる黄体期はエストロゲンが減りプロゲステロンが多くなります。ニキビができやすくバリア機能が低下して肌あれしやすい時期です。
生理前にニキビができた、という経験がある方も多いのではないでしょうか。
生理周期ごとのスキンケアのコツについても教えていただきました。- 生理中
(生理開始から約1週間) - 守りのケア。低刺激なスキンケアを。
肌トラブルを何とかしようと複数の化粧品を使わずに、引き算のケアが良い。
- 卵胞期
(生理終了日から約1週間) - 肌の調子が比較的よくなるので、美容施術などはこのタイミングがオススメ。
新しいリップやアイシャドウにトライするならこの時期に。
- 黄体期
(生理開始の2週間前~生理当日) - 皮脂の過剰分泌を避けるためにも、肌の水分油分を整える保湿が大事。
プロゲステロンはメラニンの生成を促す働きもあるため、紫外線ケアも意識する。
- 生理中
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妊娠・出産
続いて妊娠・出産におけるホルモンバランスの変化と肌への影響についても伺いました。
妊娠初期の3か月は肌あれを経験する方が多く、中期以降は女性ホルモンの分泌がさかんになるので肌のハリやツヤが良くなる傾向にあります。
一方、メラニンが活性化し、シミができたり、肝斑が悪化する方もいるそうです。
また出産後、急激に女性ホルモン分泌の急激な減少に加えて、なれない育児による疲労や睡眠不足などストレスが重なることで、肌のバリア機能も低下しトラブルが起こりやすい状態が続いてしまうとのことです。
それでは妊娠中、出産後のスキンケアで気を付けることは何でしょうか。
一人ひとり肌は違うので自分の肌と向き合うこと、紫外線ケアを十分にし、水分油分のバランスを整えることを意識してみてくださいとアドバイスをいただきました。 -
更年期
40歳半ばになって今まで肌トラブルも一切なかったのに急にニキビができた、シミが目立ってきたという相談も多いそうです。これは、40歳ごろから加齢に伴い女性ホルモンが急に少なくなるためです。
ずっと同じスキンケアアイテムを使い続けている、なんてことはありませんか。
自分のからだの変化を受け入れて、エイジングを意識したスキンケアをとりいれることも必要です。
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肌のバリア機能を
整えるために必要なこと-
セミナーもラストスパート。ここからは肌のバリア機能を整えるためのライフスタイルやスキンケアのポイントを伺いました。
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ライフスタイル
- 睡眠
- 朝起きたときにすっきりする睡眠時間を確保するのがベスト。
- 食事
- 糖質の取りすぎは肌に悪影響。
甘いものを食べすぎたらビタミンを摂取するなどバランスが大事。
- 運動
- 筋肉がリラックスして毛細血管がひらき肌の乾燥対策になる。入眠もしやすくなり一石二鳥。ストレッチなど簡単なものでもOK
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スキンケア
スキンケアで特に大事なのは洗い方です。こすらない、洗いすぎないことがポイントです。
肌あれは皮膚の病気。そんなときは化粧水や美容液など複数のアイテムを重ねて何とかしようとせず、アイテムを絞った「引き算」のスキンケアを実践しましょう。
また最近はSNSに情報があふれていますが、正しい情報を選択することが必要です。
皮膚科専門医からの情報発信もチェックしてみてください。正しい情報を得て日々のスキンケアにとりいれていきたいですね。
最後に視聴者にむけてメッセージをいただきました。ホルモンバランスの変化とうまくつきあい、一緒に美肌をめざしていきましょう!
以上、「ホルモンバランスが肌のバリア機能に与える影響」 セミナーレポートでした。
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