親子で挑むスキンケア大作戦
~こどものニキビケア~
ニキビは皮脂分泌の増加、毛穴のつまり、アクネ菌の増殖により発生します。
皮脂は、思春期に差し掛かると性ホルモンの働きが活発化し、分泌量が急激に増加します。増えた皮脂が毛穴の中にたまると、古くなった角質などと混ざり、毛穴をつまらせてしまいます。これが思春期ニキビの始まりです。
10代は多感な時期。もしお子様がニキビで悩んでいたら、何とかしてあげたいのが親心というものですよね。
今回は、にしむらクリニック 副院長 西村香織先生に、こどものニキビケアのポイントと、保護者の方ができることについて教えていただきます。
スキンケアの前に確認!
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・スキンケア化粧品は、低刺激なノンコメドジェニックテスト済み製品(用語解説①)を選びましょう。
※皮膚科で治療中の場合は、医師と相談してください。
・皮膚のバリア機能(用語解説②)を壊さないよう、こすらず、「摩擦レスなスキンケア」を心がけましょう。
洗う
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1日2回、洗顔料を泡立てて、肌の上で泡をころがしながら、ぬるま湯(30度くらい)でやさしく洗いましょう。
・べたつく皮脂を落とそうと、40℃以上のお湯で洗ってしまうと、必要なうるおいも取り除いてしまいます。
・シャワーのお湯は直接顔にかけず、いったん手のひらで受けてやさしく流しましょう。
シャワー圧によりバリア機能を低下させる可能性があります。
・ナイロンタオルで、皮脂が気になる小鼻の周りなどをゴシゴシ洗ってはいけません。
バリア機能を低下させ、ニキビを悪化させたり、赤みなどの炎症の原因になったりすることがあります。NG
・ゴシゴシ洗う
・何度も洗う
・40℃以上のお湯で洗うOK
・弾力のある泡でやさしく洗う
・ぬるま湯でやさしく、こすらないように洗い流す
・髪の生え際までやさしくすすぐ
うるおす
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肌の水分・油分のバランスを整えるために、保湿製品を使用しましょう。
ニキビ治療中の方は、治療薬による皮膚への刺激を和らげながら、円滑に治療を進めることができます。NG
・大人用のスキンケア(保護者の方と同じものを使用すると、こどもにとっては過剰な保湿となることがある)
・パッティング(用語解説③)をするOK
・保湿製品はやさしくハンドプレスでなじませる
・メーカーの推奨量を使用する(塗り過ぎが毛穴を詰まらせることがある)
・こすらない(肌が動かない力加減)
守る
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出典:日本化粧品工業会「紫外線防止の基本」 紫外線は、肌の乾燥やニキビ痕(あと)の色素沈着の原因となるため、オールシーズンの対策が必要です。こちらの表を参考に、状況に応じたSPF、PA、耐水性のものを選びましょう。
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NG
・薄く塗る
・何度も塗り伸ばしてこすっているOK
・こすらないよう、やさしく広げる
・顔の中心から外側に向かって伸ばす
・重ね塗りなどで塗り残しやムラを防ぐ
・汗をかいたり、タオルでふいたりした後には塗り直す
・耳の後ろ、うなじや髪の生え際も忘れずに塗る
ライフスタイル
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バランスの良い食事
ニキビに良い/悪い食品について、科学的に証明されたものはありませんが、食べると明らかにニキビが悪化する食品がある場合は、食べ過ぎないように注意しましょう。
ニキビが気になる場合は、ビタミンC、ビタミンB2・B6、食物繊維などの栄養素が重要です。なるべく生野菜を摂るようにし、難しい場合は野菜ジュースで代用してもいいでしょう。
お子様にとってバランスの良い食事は、健康な肌の育成だけでなく、心身の成長に欠かせません。肌の為だけでなく、お子様の成長のためにも、無理のない範囲で、なるべくバランスの取れた食事を提供してあげてください。ヘアスタイル
ニキビは皮脂腺が集中するおでこにできやすいですが、中高生にとって前髪のスタイルはこだわらずにはいられないポイントです。
いくら前髪を上げろといっても受け入れないこともあるかもしれません。
その場合、できれば帰宅後すぐに入浴、洗髪・洗顔し、肌を清潔に保ちましょう。
前髪をキープするスプレー式の整髪料を使用する場合は、前髪とおでこの間に紙やティッシュを挟むなどして、直接おでこにかからないようにしてから使用しましょう。
前髪のねじり編みアレンジなど、本人が気に入る可愛いアレンジを見つけるのもお勧めです。
SNS動画などで沢山紹介されているので、お子様と一緒にやってみたいヘアスタイルを探してみてもいいかもしれませんね。
西村先生から保護者の方へのメッセージ
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たかがニキビと思っていませんか?子供たちは思った以上にニキビを気にして隠したがります。
額を髪で、頬をマスクで隠すことで悪化するニキビもあります。
ニキビは正しいスキンケアや皮膚科での治療で治る時代になりました。しかし、治療が遅れる事で痕に残ることもあります。今はお子さんのライフスタイルに合わせ治療の選択肢も広がっています。
お子さんのニキビの悩み、皮膚科で相談されてみてはいかがでしょう。痕に残さないための早めのニキビケア、お子様・保護者さま・皮膚科のスタッフと一緒にチームで取り組んでいきましょう。用語解説
用語① ノンコメドジェニックテスト済み製品:ニキビができにくいことをテストで確認している化粧品。
用語② 皮膚のバリア機能:体内の水分の蒸発を防ぎ、外部からの刺激やアレルゲン、微生物の侵入を防ぐ重要な役割のこと。
用語③ パッティング:化粧水や乳液などを肌に塗布する際に、手のひらやコットンで軽く叩きながらなじませること。

監修医師:西村 香織 先生
にしむらクリニック 副院長
熊本大学医学部をご卒業後、長崎大学皮膚科へご入局。大学病院、総合病院でのご勤務を経て、2014年に、にしむらクリニックをご開業。患者に寄り添いながら、様々な治療方法の中からベストな方法を考え、肌本来の治療能力を最大限に引き出す治療に努められている。ご自身も3人のこどもの子育て経験があり、患児の保護者からの信頼も厚い。