日焼けの後、赤くなる? 黒くなる?
あなたの肌タイプと対処法
紫外線を浴びた後、赤くなって数日経つと元に戻る人もいれば、すぐに褐色肌になる人もいます。実は肌タイプによって、紫外線を浴びた後の影響は違います。千春皮フ科クリニックの渡邊千春先生に、肌タイプ別の日焼け対策について教えていただきました。自分の日焼けのパターンを知って、日焼け防止に役立てましょう。
2025.02.26
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美肌解説
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赤い日焼けと黒い日焼けの正体は?
サンバーンとサンタンの違い
出典:紫外線環境保健マニュアル2020 環境省
日焼けには、「サンバーン(sunburn)」と「サンタン(suntan)」の2種類があります。
「サンバーン」は紫外線を浴びた数時間後から現れる赤い日焼け(紅斑)のこと。「サンタン」は、赤い日焼けが消失した数日後に現れ、数週間から数ヵ月続く黒い日焼けのことです。 -
肌タイプによる日焼けの違い
日本人の肌タイプ
出典:紫外線環境保健マニュアル2020 環境省
日焼けの仕方によって肌タイプが分けられます。図のように、「タイプJ-Ⅰ(紫外線に高過敏)」の人ほどサンバーンが強く、「タイプJ-Ⅲ(紫外線に非過敏)」の人ほどサンタンが強く表れます。日本人の平均的なスキンタイプはJ-Ⅱのようですが、あなたはどの肌タイプですか?
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赤い日焼けは紫外線による皮膚のヤケド、黒い日焼けは炎症後の色素沈着
赤い日焼け(サンバーン)は主にUVBによって起こります。UVBは皮膚細胞のDNAに傷をつけます。皮膚の細胞にはこのDNAの傷を修復する仕組みが備わっていますが、このような修復反応や直接的な細胞障害により、炎症が引き起こされます。 その結果、皮膚が赤く腫れたり水ぶくれができたりと、ヤケドを負った時と同じような状態になります。 炎症が起こるとメラニン色素を作る色素細胞(メラノサイト)が刺激され、メラニンを沢山つくるため、赤くなったところが褐色となり、黒い日焼け(サンタン)になります。また、メラノサイトは紫外線によっても刺激を受けメラニンをつくるため、色素沈着が増強します。そもそも、メラニンは皮膚の細胞を守るために作られます。皮膚が黒くなるということは、前段階で皮膚の細胞が傷ついているということを忘れないようにしましょう。
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皮膚が赤くなってしまった時の対処法
日焼けはヤケドと同じです。ヤケドをした時は流水で冷やすのと同じように、保冷剤などを上手に活用し、患部を冷やしましょう。炎症が強く痛みを伴う場合、ステロイド外用薬の使用も検討します。その場合はご自身で判断せず、早めに皮膚科を受診しましょう。
炎症後の色素沈着を予防する目的で、ビタミンC誘導体含有のスキンケア製品を使用したり、サプリメントでビタミンCなどの抗酸化作用のある栄養素を摂取したりするのもいいでしょう。 -
皮膚が黒くなってしまった時の対処法
炎症が落ち着いて皮膚が褐色になってしまった場合は、メラニンの生成を抑え、今あるメラニン色素を軽減する方法をとります。スキンケアをしっかり行い肌のターンオーバーを整えるだけでも、メラニンの排出を手助けします。今ある色素沈着を軽減するために、美白の作用があるビタミンC誘導体やトラネキサム酸が含有されたスキンケア化粧品を使用するのも有効です。医療機関ではハイドロキノン含有のクリームや、内服のトラネキサム酸が処方されることがあります。色素沈着はシミになって残る可能性が高いです。気になる場合は早めに美容皮膚科に相談しましょう。
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監修医師からのアドバイス
紫外線を浴びない方がいいのは分かっていても、うっかり日焼けしてしまうこともありますよね。その場合はすぐに対処し、悪化しないようにしましょう。そもそも、日焼けをしないようにすることが大切です。紫外線防御については下記のページでもまとめていますので、参考にしてください。
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監修医師:渡邊千春先生
千春皮フ科クリニック 理事長・総院長
医学博士・日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本レーザー医学会専門医・評議員
日本プラセンタ医学会理事・
日本美容内科学会理事
東京医科大学をご卒業後、同大学皮膚科にて研鑽を積まれる。双子を含む4人の母。大学病院、クリニックでのご勤務を経て、2012年に千春皮フ科クリニックをご開業。19年に広尾院を開設。海外でのご講演経験もあり、多方面でご活躍されている。患者様の肌悩みをトータルで解決すべく、保険診療と自由診療どちらも高いレベルで行い、アトピー性皮膚炎、尋常性ざ瘡などの保険標準治療はもちろん、レーザー、ヒアルロン酸・ボトックス注入などを用いた美肌治療に定評がある。自身がアトピー性皮膚炎だった事や4人の子どもの子育ての経験を活かし患者様に寄り添った診療を心がけ、患者様からの信頼も厚い。趣味は食べ歩き、ゴルフ、乗馬。