日焼け止めの基本のき
~特徴と選び方~
日焼け止めには様々な種類や特徴があり、どれを選んだらいいのか分からなくなりますよね。そこで、千春皮フ科クリニックの渡邊千春先生に、日焼け止めの基礎知識についてお教えいただきました。ご自身の肌や目的に合った日焼け止めを選びましょう。
2025.02.26
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紫外線カット効果を表すSPF/PA
日焼け止めの効果を示す数値には「SPF(Sun Protection Factor)」と「PA(Protection grade of UVA)」の二つが用いられています。
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●SPF(Sun Protection Factor)
SPFはUVB防止のバロメーター。紫外線のUVBを、何も塗らないときに比べて何倍防ぐことができるかの目安です。数値が高い程UVB防止効果が高くなります。
たとえば、何も塗らないときに20分で肌が赤くなりはじめる人が「SPF25」の日焼け止めを規定量で使用した場合、理論的※には20分×25=500分間(約8時間)、肌が赤くなるのを防ぐことができるということになります。
※肌が赤くなりはじめる時間には個人差があります。また、日常使用では汗などで日焼け止めが落ちることもありますので、計算上の効果とは異なる場合があります。●PA(Protection grade of UVA)
PAはUVA防止のバロメーター。紫外線のUVAを、どれくらい防ぐことができるかの目安です。効果の度合いが4段階に区分され、「+」の数が多い程UVA防止効果が高くなります。PA+ 効果がある
PA++ 効果がかなりある
PA+++ 効果が非常にある
PA++++ 効果が極めて高いUVBとUVAが肌に与える影響については下記のページでまとめていますので、ご覧ください。
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日焼け止めの種類と特徴
日焼け止めには乳化タイプ(乳液)、ローション、ジェル、スプレー・シート状など、さまざまな剤型があります。基本的にはお好みのものを選んでいただければと思いますが、それぞれ特徴に違いがありますので、TPOに応じて使い分けるのがお勧めです。
剤型 特徴/お勧め使用シーン 乳化タイプ
(乳液)商品によってSPF値が異なる。日常使いにお勧めのものから、汗や水に強くアウトドアやスポーツ、海やプールでの使用にお勧めのものまで、商品の幅が広い。 ローション、オイル、ジェルタイプ SPF値が中等度以下の製品が多い。日常使いにお勧め。 エアゾールタイプ(スプレー) 背中、頭皮等塗りにくい箇所への使用にお勧め。ムラ付きに注意。 スティックタイプ 耐水性に優れていることが多い。鼻や頬などの部分使用、携帯用にお勧め。 シートタイプ 利便性が良い。日常使いにお勧め。 参照:日本化粧品検定1級対策テキスト コスメの教科書 第2版
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紫外線を防ぐ成分は大きく2種類
紫外線を防ぐ紫外線防止剤には、紫外線散乱剤と紫外線吸収剤の2種類があります。
・紫外線散乱剤:微粒子粉体(非常に細かい粉末)が紫外線を物理的反射ではね返す。
・紫外線吸収剤:紫外線を吸収し、熱エネルギーに変えて放出する。紫外線散乱剤は、塗った時に肌が少し白くなります。紫外線吸収剤は、塗ったときに肌が白くなりにくいですが、まれにかぶれなど、肌に刺激を感じてしまう人がいます。
通常、日焼け止め効果を高めるために、数種類の紫外線防止剤が組み合わされて配合されています。
子ども用や敏感肌向けのものは紫外線散乱剤のみを配合しているものが多く、「ノンケミカル」「紫外線吸収剤不使用」「紫外線吸収剤フリー」などといった表示がされています。 -
紫外線防止剤の種類とその特徴
種類 紫外線吸収剤 紫外線散乱剤 代表的な化合物
(表示名称)メトキシケイヒ酸オクチル
(あるいはメトキシケイヒ酸エチルヘキシル)
ジメチルPABAオクチル
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン等酸化亜鉛
酸化チタン特 徴 - ●化合物自体が紫外線を吸収し皮膚へ紫外線が届くのを防ぐ。
- ●特異的な吸収波長がある。(UVB吸収剤、UVA吸収剤)
- ●溶解しているため皮膚に塗った時に白く見えない。
- ●まれにかぶれる人がいる。
- ●粉末が紫外線を吸収・散乱することにより皮膚へ紫外線が届くのを防ぐ。
- ●酸化亜鉛はよりUVAを、酸化チタンはよりUVBを防ぐ。
- ●吸収剤に比べると、皮膚に塗った時に白く見える。
出典:紫外線環境保健マニュアル2020 環境省
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どう選ぶ?敏感肌の日焼け止め
敏感肌の方は乾燥を防ぎながら紫外線対策ができる日焼け止めがお勧めです。
下記のポイントを参考に、ご自身の肌に合った日焼け止めを選びましょう。1. 紫外線吸収剤を使用していないノンケミカルタイプ
2. 保湿性のある低刺激タイプ
3. いつもの洗顔料で落とせるもの皮膚疾患がある方の日焼け止めの選び方については、下記のページでまとめていますので、併せてご覧ください。
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監修医師からのアドバイス
日焼け止めは剤型によって使用感が全く違います。サンプルやテスターで使用感を確認し、ご自身の肌に合った剤型の製品を選びましょう。汗や皮脂で日焼け止めが取れてしまうことがあるので、できれば2~3時間おきに、お手洗いに行くタイミングなどを活用し、上手に塗り直しましょう。
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監修医師:渡邊千春先生
千春皮フ科クリニック 理事長・総院長
医学博士・日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本レーザー医学会専門医・評議員
日本プラセンタ医学会理事・
日本美容内科学会理事
東京医科大学をご卒業後、同大学皮膚科にて研鑽を積まれる。双子を含む4人の母。大学病院、クリニックでのご勤務を経て、2012年に千春皮フ科クリニックをご開業。19年に広尾院を開設。海外でのご講演経験もあり、多方面でご活躍されている。患者様の肌悩みをトータルで解決すべく、保険診療と自由診療どちらも高いレベルで行い、アトピー性皮膚炎、尋常性ざ瘡などの保険標準治療はもちろん、レーザー、ヒアルロン酸・ボトックス注入などを用いた美肌治療に定評がある。自身がアトピー性皮膚炎だった事や4人の子どもの子育ての経験を活かし患者様に寄り添った診療を心がけ、患者様からの信頼も厚い。趣味は食べ歩き、ゴルフ、乗馬。