UVインデックスと紫外線

紫外線が肌にどのような影響を与えるのか、そもそも紫外線とは何なのか。UVインデックスという単語についても、ご存知ですか?意外と知らない紫外線の基礎知識を、千春皮フ科クリニックの渡邊千春先生に教えていただきます。

2025.02.26

    • 肌に影響を与える紫外線は3種類

      太陽光と紫外線

      出典:紫外線環境保健マニュアル2020 環境省

      太陽の光には、目に見える光(可視光線)のほかに、目に見えない赤外線や紫外線が含まれていて、その中でも、紫外線はUVA、UVB、UVCの3種類に分かれています。

    • 肌の奥深くまで到達し、光老化の原因となる「UVA」(波長 315-400nm)

      波長が長く、その35~50%が表皮を通過して真皮まで到達し、肌を黒くさせる色素沈着(サンタン)を起こします。また、年間を通じて皮膚への到達量が多いのが特徴で、慢性的に浴び続けると皮膚の弾性繊維や膠原(こうげん)繊維にダメージを与え、シミ、しわ、たるみなどの、肌の光老化を引き起こす原因となります。
      波長が長いため、曇りの日も注意が必要です。また、室内にいても窓ガラス越しに入り込むので、自宅やオフィス、車の中にいる時でも肌の奥深くまで到達して肌の光老化(シミ、しわ、たるみなど)を引き起こします。UVA防止のバロメーターは、PAで表します。

    • 炎症の原因となる「UVB」(波長 280-315nm)

      波長が短いため真皮まで到達せず、浴びた直後から主に表皮で急激に作用して肌が赤くなる炎症(サンバーン)を起こし、シミやソバカスなどを起こし、肌の乾燥の原因にもなります。特に、春~夏や晴れた日には注意が必要です。UVB防止のバロメーターは、SPFで表します。

    • 肌(地表)には届かない「UVC」(波長280nm未満)

      空気中の酸素分子とオゾン層で遮られて地表には届かないため、肌への影響はないと言われています。

    • UVインデックスとは

      UVインデックスとは、紫外線が人体に及ぼす影響の度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを指標化したものです。世界保健機関(WHO)が発信しており、国内では、環境省から刊行されている「紫外線環境保健マニュアル」の中で、UVインデックスに応じた紫外線対策の具体例が掲載されています。

    • UVインデックスに応じた5段階の強度分類と紫外線対策

      出典:紫外線環境保健マニュアル2020 環境省

      例えばつくば市の月最大UVインデックス時別累年平均値グラフをみてみると、5月~9月の11時~12時代は非常に強い8~10の値であることが一目で分かります。

      出典:紫外線環境保健マニュアル2020 環境省

      真っ赤になっている時間帯の外出を避けるなどの対策が立てやすく、日常で参考にしたい値ですね。

    • 監修医師からのアドバイス

      若いころに浴び続けた紫外線は、年齢を重ねた頃にシミ、しわ、たるみという形で表れてきます。また紫外線は、肌の乾燥やニキビ痕(あと)の色素沈着の原因となるため、乾燥やニキビが気になる方も紫外線対策はとても大切です。毎朝のスキンケアの最後のステップに、日焼け止めを塗る習慣をつけることができたらいいですね。日焼け止めの選び方については下記のページでまとめていますので、ぜひご覧ください。

監修医師:渡邊千春先生

千春皮フ科クリニック 理事長・総院長

医学博士・日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本レーザー医学会専門医・評議員
日本プラセンタ医学会理事・
日本美容内科学会理事

東京医科大学をご卒業後、同大学皮膚科にて研鑽を積まれる。双子を含む4人の母。大学病院、クリニックでのご勤務を経て、2012年に千春皮フ科クリニックをご開業。19年に広尾院を開設。海外でのご講演経験もあり、多方面でご活躍されている。患者様の肌悩みをトータルで解決すべく、保険診療と自由診療どちらも高いレベルで行い、アトピー性皮膚炎、尋常性ざ瘡などの保険標準治療はもちろん、レーザー、ヒアルロン酸・ボトックス注入などを用いた美肌治療に定評がある。自身がアトピー性皮膚炎だった事や4人の子どもの子育ての経験を活かし患者様に寄り添った診療を心がけ、患者様からの信頼も厚い。趣味は食べ歩き、ゴルフ、乗馬。