紫外線対策は夏だけでいい?!
季節や天候、場所によって変わる紫外線
「日焼け止めは夏しか使わない、そもそも曇りや雨の日は日焼け止めを塗らない」そのような方、多いのではないでしょうか。紫外線は季節や天候に関係なく、年中降り注いでいます。千春皮フ科クリニックの渡邊千春先生に、年間を通じた紫外線対策の重要性について、教えていただきます。
2025.02.26
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美肌解説
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通年の紫外線対策が美肌の秘訣!
健康な肌を維持していくために、年間を通じた紫外線対策は大切です。
エイジングの代表であるシミ、しわ、たるみは、加齢による影響はたった2割程度で、約8割は紫外線を浴びることにより起こる光老化が原因だと言われています。
この光老化(シミ、しわ、たるみなど)の主な原因となる紫外線はUVAです。UVAは4月~8月がピークですが、年間を通じて高い傾向があります。できてしまったシミ、しわ、たるみなどを目立たなくさせるのは大変ですが、紫外線対策をしっかり行い、将来のシミ、しわ、たるみなどを予防しましょう。つくば市の月平均UV-A量[ kJ / m² ]
国立環境研究所 地球環境研究センター 2021年UV-A量観測データ(つくば市)より作図
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夏場の対策はもちろん、対策意識が薄くなる夏以外も要注意
年間でみると、日焼けやシミの原因となるUVBの量は4月頃からどんどん増え始め、6~8月にピークを迎えます。9月以降になると徐々に減っていき、12月~1月に最も少なくなります。ただ、例えば、つくば市の平均的な紫外線強度では、紫外線量が少なくなる12月でも、太陽が真上に上る11時~13時頃は、7月の朝7時~8時とほぼ同量の紫外線が降り注いでいますので、冬場でも紫外線対策は必要です。
月別紫外線UVB照射量(kJ/m2/日)
出典:紫外線環境保健マニュアル2020 環境省
時刻別紫外線強度(UVインデックス)
出典:紫外線環境保健マニュアル2020 環境省
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曇りの日の紫外線量は晴天時の約60%
日差しを遮る雲は、紫外線のカットフィルターの役目も果たしてくれます。とはいえ、紫外線の影響を100%受けない日はありません。快晴の日の紫外線量を100%とすると、空全体がうっすら雲で覆われているような薄曇りの日で約80~90%、曇りの日で約60%、雨の日でも約30%は降り注いでいます。
薄曇りの日など、雲は多くても日差しを感じるような場合は晴天時とあまり変わらない紫外線の影響を受けることがあるので、油断は禁物です。快晴時のUVインデックスを100%とした場合の天気毎のUVインデックスの場合
出典:気象庁ホームページ_知識・解説
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全方位から影響を与える紫外線
空から降り注ぐ紫外線。でも、その脅威は空だけにあらず。空気中で散乱して届く散乱光や、地面等で反射して届く反射光もあります。
例えば木陰で直射光を防いでいたとしても、見上げた空が青く見える場合は散乱光を浴びている状態になります。気象庁のデータによると、本州の夏の晴天時では、正午頃では紫外線の総量の内約60%は散乱光とのこと。また、普段歩いているアスファルトの道でも10%は反射するので、日傘を差していても浴び続けることになります。上からの紫外線を防ぐだけでは、完璧な紫外線対策とは言えません。露出部位はなるべく日焼け止めを塗るようにし、サングラスも活用していきましょう。出典:気象庁ホームページ_散乱される紫外線
本州の夏の晴天時のUVインデックスの日変化の例。地上に到達する紫外線の総量を太線で、そのうちの直射光によるものを細線で示します。
正午頃では紫外線の総量のうち約6割が散乱光です。可視光の場合、散乱光の占める割合は1~2割程度です。紫外線の反射率
反射率 新雪 80% 砂浜 10~25% アスファルト 10% 水面 10~20% 草地・土 10%以下 出典:紫外線環境保健マニュアル2020 環境省
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監修医師からのアドバイス
実際にデータで見てみると、年間を通じた紫外線対策が必要なことが、お分かりいただけるかと思います。若いころに浴びる紫外線は、年齢を重ねてシミやしわとなって現れます。
また紫外線は、肌の乾燥やニキビ痕(あと)の色素沈着の原因となるため、乾燥やニキビが気になる方も紫外線対策はとても大切です。いつまでも美しく健康な肌を保つためにも、日々の紫外線対策を心がけたいですね。どのような紫外線対策を行ったらいいのかを下記のページでまとめていますので、ぜひご覧ください。
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監修医師:渡邊千春先生
千春皮フ科クリニック 理事長・総院長
医学博士・日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本レーザー医学会専門医・評議員
日本プラセンタ医学会理事・
日本美容内科学会理事
東京医科大学をご卒業後、同大学皮膚科にて研鑽を積まれる。双子を含む4人の母。大学病院、クリニックでのご勤務を経て、2012年に千春皮フ科クリニックをご開業。19年に広尾院を開設。海外でのご講演経験もあり、多方面でご活躍されている。患者様の肌悩みをトータルで解決すべく、保険診療と自由診療どちらも高いレベルで行い、アトピー性皮膚炎、尋常性ざ瘡などの保険標準治療はもちろん、レーザー、ヒアルロン酸・ボトックス注入などを用いた美肌治療に定評がある。自身がアトピー性皮膚炎だった事や4人の子どもの子育ての経験を活かし患者様に寄り添った診療を心がけ、患者様からの信頼も厚い。趣味は食べ歩き、ゴルフ、乗馬。